医療法人 井上クリニック 内科、産婦人科

漢方処方

漢方薬について

「葛根湯」という薬をもとに説明していきます。

1) 複数の生薬が使われているということ

一つの漢方薬には複数の生薬が含まれています。葛根湯では「桂枝、芍薬、生姜、大棗、甘草、麻黄、葛根」という7つの生薬が含まれています。
このうち「桂枝」には「のぼせを治す」「発汗を促す」などの効能があり、「葛根」には「肩こりをほぐす」などのの効能があります。「芍薬・甘草・大棗」が「発汗過多を抑制・腸管の痙攣を緩解・腹痛をとめる」などの効能があります。
このように漢方薬は複数の生薬からなり、それぞれの生薬に効能があります。漢方薬の効能は単純に生薬の効能の足し算になるわけではありませんが、漢方薬の選択において含まれている生薬をもとに考えるとわかりやすくなります。
 

2) 「証」という考え方

複合剤である漢方薬はそれ自体がすでに、西洋薬におけるセット処方に相当するものと考えることができます。
そしてこの「セット処方」にはそれを用いるべき患者側の「状態」が想定されますが、それを東洋医学では「証」といいます。
「証」とは西洋医学でいう「診断名」ではなく東洋医学の言葉で記述される「状態」です。葛根湯でいうとまず「表証」かつ「寒証」かつ「実証」に用いるべき薬とされていますが、ここでいう「表」「寒」「実」とは日本語の感覚とは少し異なり、

  ○「実」→(体質的に)「体力が充実している=虚弱でない」方の
  ○「表」→(時期的に)「体の表面に症状がある=カゼの初期」で
  ○「寒」→(自覚的に)「悪寒などの症状がある)時 に用いる薬です。

そして、含まれる生薬の「桂枝・麻黄」で「発汗」して「解熱」します。加えて「葛根」が含まれているので「肩こり」がある場合には効果がでやすくなります。
逆に同じカゼであっても「初期でない」場合や、悪寒より「熱感の強い」場合、また体力のない「虚弱体質や高齢者」などの場合には葛根湯は用いずにでは異なる漢方薬が選択されることになります。
 

3) 実際的には

このように漢方薬は「証」に従って処方が行われるべきですが、経験的に「証」に合っている漢方薬は「まずくなく」「飲み忘れない」傾向があります。漢方薬に含まれれる生薬には独特の臭いと味があり、たとえば「呉茱萸湯」という漢方薬は一般的に「マズイ」薬とされていますが、それが合っているヒトは「おいしい」 と感じるといいます。
また漢方薬では証があっていない場合効果が実感できませんので、処方されても飲み忘れる場合もあるのですが、このことはある意味、不要な薬を飲み続けずにすむという点で、副作用軽減にも役立っています。
このように、症状の改善のみならず「まずくなく」「飲み忘れない」という観点で考えて行くだけでも適正な漢方薬を選択できると考えています。
 

4) 当院における漢方薬

当院でよく処方する漢方薬を下に列挙します。下記にない漢方薬を希望される場合でもご相談の上院外処方にて処方致します。

001 葛根湯 024 加味逍遙散 068 芍薬甘草湯
005 安中散 025 桂枝茯苓丸 084 大黄甘草湯
006 十味敗毒湯 027 麻黄湯 095 五虎湯
007 八味地黄丸 029 麦門冬湯 100 大建中湯
009 小柴胡湯 031 呉茱萸湯 103 酸棗仁湯
015 黄連解毒湯 039 苓桂朮甘湯 111 清心蓮子飲
017 五苓散 041 補中益気湯 126 麻子仁丸
019 小青竜湯 053 疎経活血湯 127 麻黄附子細辛湯
023 当帰芍薬散 062 防風通聖散 138 桔梗湯