生活習慣病
[1]生活習慣病の概念
「生活習慣病」とは、生活習慣が発症原因に深く関与している病気をいい、脳血管疾患、心臓疾患、糖尿病、脂質異常症、高血圧症、高尿酸血症などの病気を総称した名称です。
これらの病気については、かつては、加齢によって発病すると考えられ「成人病」と呼ばれていました。しかしその後の研究によってその発症が、食習慣、運動習慣、喫煙、酒など、日常の「生活習慣」と密接な関わりがあることがわかり、「生活習 慣病」と名称を変えて呼ばれるようになりました。
[2]特定健診との関係
この呼称の変化は「住民健診」の変化とも関係があります。以前の住民検診では疾病の早期発見・早期治療という「二次予防」に重点を置いていたのにして、現在行われている「特定健診・特定保健指導」では、発症予防を目的に生活習慣の改善を図るという、疾病の「一次予防」に重点が置かれています。
[3]メタボリックシンドローム
この「生活習慣病」については、これに含まれる高血圧・糖尿病・高脂血症の病気が別々の原因で発症するのではなく、共通の原因として「内臓脂肪型肥満」が関わっていることがわかってきました。この「内蔵脂肪型肥満」に高血糖,高血圧,脂質異常のうち2つ以上を併せ持った状態を「生活習慣病予備軍」としての「メタボリックシンドローム」といいます。この「メタボリックシンドローム」の状態からから生活習慣病が発症する経過は次のように説明されています。
1) 内臓脂肪が蓄積すると、脂肪細胞から「アディポネクチン」の分泌が減ります。
※「アディポネクチン」にはインスリンの働きを強めたり(抗糖尿病効果)たり動脈効果の進展を抑える抗動脈硬化作用があります。
2) アディポネクチンの分泌減少が「インスリン抵抗性」をひきおこします。
[4]インスリン抵抗性というもの
この「インスリン抵抗性」とは、「インスリンというホルモンが効きにくくなった状態」をいいます。この状態は糖尿病をひきおこすだけでなく、以下の機序で高血圧、高脂血症動脈硬化をもひきおこすといわれています。
1) 「インスリン抵抗性」によって、インスリンが体の中で効きにくいために
その分泌がふえて「高インスリン血症」になります。
2) 「高インスリン血症」が以下の機序により生活習慣病の原因となります。
- a)肝臓のVLDL産生増加をきたし「高中性脂肪血症」をひきおこす。
- b)腎尿細管への直接作用によりナトリウム貯留を引き起こし「高血圧」を発症。
- c)血管内皮細胞を増殖させ、アテローム性「動脈硬化症」を発症させる。
このように最終的に心筋梗塞や脳梗塞に至るのは、血圧や糖や脂質が直接の原因ではなく、このインスリン抵抗性が根本的な原因だとする考え方です。
[5]「特定健診」と「特定保健指導」
現在全国で行われている「特定健診」は「メタボリックシンドローム」予備軍を選びだし、その方に対して「特定保健指導」で具体的に指導しようというものです。
特定健診では「内臓脂肪型肥満」を腹囲で評価して選び出します。これに加えて血圧・血糖・血中脂質・喫煙などの危険因子が重なっていると「メタボリックシンドローム予備軍」として選び出されて「特定指導」の対象者となります。
対象者は脳卒中、心疾患などの「生活習慣病」を発症する危険が増大していますが、生活習慣を変えて内臓脂肪を減らすことで危険因子を減らし生活習慣病発症を予防することができると考え、「特定保健指導」の中で生活習慣の改善を具体的に指導していくことになります。

